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小学校からの英語教育についてもの申す [教育]

小学校から英語教育は必要か、という問題について。
文科省は、現在5,6年で行っている「外国語活動」の時間を3,4年生に前倒し、5,6年生では英語を正式教科にする方針だ。2018年から段階的に導入する。

現在小学校では5,6年生で「外国語」という科目で英語教育が実施されている。自治体によっては予算を組み、英語教育の充実を事業として取り組んでいるところもある。
中学校から英語教師を呼んで授業をさせたり、英語の専任教諭を配置したり、またALTの派遣、英語弁論大会優秀者にアメリカ旅行プレゼントなど、いささか行き過ぎとも思われるような事業を展開している。
 
 グローバル社会において、英語の重要性は認めないわけではないが、果たして文科省の方針は適切と言えるだろうか。「小学校で英語は不要」と言い切る有識者もいる。
 
 カリキュラムから考察すると、小学校3,4年生から何を学ばせるのか、ということだ。簡単な英単語の学習は、幼稚園や保育園でもしているが、身の回りの日本語を英語で言えるような能力を身に付けること、それ自体は目標にはならないだろう。現在の小学校の外国語学習のねらいは、英単語を覚えることではなくて、英語に親しみをもつことだ。ALTとの会話を通して、英語を耳で理解し、英語で話す態度を養うことにある。5,6年で本格実施となれば、単語テストぐらいは実施するのかもしれない。

 僕は十数年前、イギリスのリバプールを旅行したことがある。庶民的なホテルに泊まり、ある朝の朝食時、宿泊していたフランス人と英語で話した。僕は片言の英語で、四苦八苦そのフランス人と会話をしたのだが、なんとか会話はできた。確かに、英語が得意だったらもっと楽しい会話ができただろう。悔やんだ僕は英会話の勉強をしようと思ったのだが、帰国してからはすっかりその気はどこかへ消えてしまっていた。
 仮に、僕が小学校から英語を学び、英会話も得意で、リバプールでフランス人と楽しく会話ができたとしよう。「ああ、英語ができてよかった」と僕は思うだろう。しかし、そう思うのは、そのときだけだ。僕が外国人と関わる場所にいないかぎり、僕は日本語だけで生きていける。

 なにを言いたいかといえば、日本人全員が流暢な英語を話す能力を身に付ける必要はない、ということだ。国際社会で確かに英語は必要だが、みながみな、国際社会に直接関わるわけではない。英語は特に好き嫌いがはっきりする教科で、将来英語力を生かせる職業を希望する児童生徒は早くから塾などに通っている。苦手な子どもは基本的な英会話が確実にできればそれでいい。
 あまりにも英語教育に力を入れすぎて、肝心の国語力が…、という本末転倒はあってはならない。
 日本語が危機的状況にあるなかで、英語力の育成を児童生徒に押しつけるのはいかがなものか。

 文科省にはぜひ再考をお願いしたい。

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